【第1回】植物から学ぶ



私は美園ファーマーズ倶楽部でチーフ・アグリ・マスターとして体験農業の指導等をしています。今週は全3回で生産者目線で農業を「自然や植物」という切り口から紹介したいと思います。


「植物」としての野菜の不思議

植物はうそをつかない。手をかけてあげれば、それに応えてすくすくと成長していく。逆にちょっかいを出しすぎるとつむじをまげてしまって思いもしない方向に伸びてしまう。植物は自然のなかでの生き方を知っているのだ。乾燥してくれば根を下へ下へと伸ばして水を求めるし、気孔を閉じて体内の水分蒸散を防ぐ。寒くなれば体内の糖分を調節して凍らないようにする。これがネギやホウレンソウが甘みを増すしくみだ。人が衣服で体温調節をするのに似ている。いやいや、人が真似をしているなどとはおこがましい。人類の歴史よりもずっと前から植物たちは生存していたのだ。人間が学んでいることはたくさんある。

人間も自然の一部である

季節が廻れば花は咲く。春、桜の花が咲くころに、葉物類の種を植える。若干おそいほうが発芽率は高いかもしれない。タネ自身が記憶している発芽の季節感も年度を繰り返すごとに人間も体で覚えてくる。最もよく芽を出す季節は今なのだ!と。「ダイコン十耕」よく耕された土壌では、まっすぐ素直なダイコンができる。環境は大事だということだ。孟母三遷、門前の小僧習わぬ経を読む・・・人間は植物が自然の中で生きていくためのサポートをしながら、植物に重ね合わせて大切な営みを学んでいくのかもしれない。学びながら自然と一体となっていく・・・農作業に関わることで人も季節の営みと一体となった感じがする。

次回は「農業と五感」についてお話します。

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