管理すること(マネジメント)

2021年6月8日(火)

管理すること(マネジメント)

こんにちは、モリモリです。今日は農作業における「管理行動」についてのお話です。


農作業を効率よく行うためには、管理行動=マネジメント能力が欠かせません。例えば友達同士のグループで畑を借りて家庭菜園等をする場合には、人や畑のマネジメントも必要になりますが、それ以前に自己マネジメントができないと大変なことになっていきます。


農作業は、いわば自然との共存です。共存とは自然を知り、良いところを引き出しながら、克服していくことで、初めてバランスが保たれるものです。農場風景の、とある一面だけをみても全体をみていることになりません。他人に提供してもらった状態を、自然の環境と勘違いしてしまうことも危険です。




そのためには自然を知り、自然のサイクルを上手に管理する力が必要になってきます。次にいくつかマネジメントの視点をご紹介しますが、前提として本来の姿や理想の状態を持っていなければなりません。



あるべき姿が無いままでは、単に作業の分担と継続になってしまいますし、状況に振り回されてその場対応になってしまいます。目指したい確かな状態があって初めて、マネジメント行動が効果的になるのです。


〇栽培管理

作物の特質を知り、成長する力をひきだしてあげるのが栽培管理です。人間の都合で作業するという意識ではなくて、植物が成長するための支援をするというスタンスが基本です。人間ができるのは植物が成長するための環境を整えるということだけです。栽培管理はこの一言に尽きます。


トマトはアンデスの高地が原産地なので、水分を絞りながら成長させると糖度の高いトマトができると聞いたことがあるでしょう。これが持って生まれた特質で、そのために高畝にして水はけをよくしたり、バジルのようなコンパニオンプランツと混植して余分な水分を吸収してもらったりします。




ピーマンのように枝分かれをしていくような作物は、枝が密生していきますので、内側に伸びる枝を剪定していきます。上から見ると真ん中が開けるようにしていくのです。つまり上に上る太陽にあわせて、太陽からみるとピーマンの拡がった葉っぱ全体に万遍なく日の光を届けられているという状態にしていきます。


キュウリなどでは、5~6節くらいまでのわき芽と下葉を取り除いていきます。こうすることで、泥はねを防ぎ、風通しを良くして病気にかかりにくい栽培をしていくのです。


このように栽培管理は自然環境の中で作物を成長させていくものです。作物にとって成長しやすい環境を整えて作物の生きる力を引き出していくことが、とても大切だということです。


〇草管理

畑での重労働は草との戦いです。雑草と一口に言いますが、人間にとって目的外の草たちを総称した呼び方になっています。「雑草という草は無い」というように、一つ一つの草たちも分類され名前がついているのです。


さて、畑一面に生える草たちですが、荒れ地には細葉の草、肥沃な畑になると広葉の草が増えてくるといわれています。草たちも植物ですから発芽の条件(温度・空気・水分)が整わなければ発芽しません。発芽してきた草たちも、日の光に当たらなければ成長していきません。





この原理原則に立てば、草よりも早く作物の葉を拡げることや発芽してきた葉を搔き採ることで草の成長を抑えることができることになります。刈りとった草を地表に敷けば光を遮断し、あとから発芽した草を抑制することも可能になりますし、肥しとして土に還元させていくこともできます。




草の成長と私たち人間の作業との兼ね合いで、というよりせめぎあいで、草たちと共存できるか、無残に草に覆われた畑になってしまうかになるということです。そのためにも、時間の概念が大切になります。


〇時間管理

時間は、万人に平等に与えられている資源ですが、人間だけではなく、動物にも植物にとっても平等です。日光の長短を利用した発芽や着果コントロールは別の機会に譲るとして、ここでは時間の使い方を中心におはなしをしていきます。


暗闇でできる作業も無いことはありませんが、明るくないと作物の様子もわかりませんし適切なお世話ができません。夏場であれば日の出から日没までが外で有効に使える時間です。冬場になると日の出後も霜が立っていて畑に入れなかったり、作物自体が凍っていて収穫ができないこともあります。




天候次第では終日畑に出られないこともあります。季節の変化の中で天気を観察して、活動できる時間を確保していくという考えを持つことが大事です。そうすると使える時間は有限になりますので、工夫して上手に使うようにしましょう。
例えばジャガイモの芽欠きをしながら草をとり、施肥をしながら土寄せをするというように一連の動作で作業を組み立てるというようなものです。


また、作業に没頭するとついつい時間がたってしまいます。あとちょっとあとちょっと・・・とついつい時間を足してしまいがちですが、30分とか60分とか決めたら前倒しで休憩をとるようにしましょう。夏場の熱中症は、「それからそれから症候群」が引き金になりますのでこまめな水分補給を心がけましょう。夏であれば畑でとれたトマトなどをつまみながら水分補給するのも楽しみながらやるコツです。




その日の予定をもとに、畑全体の現状を観察して、段取りを決め、無駄な動きにならないように作業をしていくことが大切です。スケジュールは現場をみながら優先順位をつけて組み替えていきます。主婦の人はお料理をする時に今日の献立を予定し、材料とキッチンの環境を把握して、手順を決め、並行作業で下処理加熱、盛り付けとしていきますね。


同様に農作業でも、その日の作業内容や完了状態をイメージしながらタイムマネジメントをすることが重要です。時間を意識すると頭を働かせることになりますので、認知症予防にも役立つことでしょう。


この他にも

〇施肥管理

〇成長管理

〇収穫管理

〇農場管理



など、様々な視点があります。
農作業はたんなる作業ではなく、マネジメント能力が問われる作業だと認識しておくと、一味違う本格的な農との関わりができるようになるでしょう。

というわけで、今回は農作業におけるマネジメントのお話でした。それではまた。

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