2021年5月27日(木)
サツマイモの育て方
こんにちは、モリモリです。
今回はサツマイモの育て方についてのお話です。日本人にはとても身近な野菜の一つですが、今回はそのルーツから栽培方法までお話していきます。サツマイモは、やせて乾燥した土地で育てられるので、植え付けさえ終えてしまえば手間をかけずに収穫を待つことができる野菜です。
〇さつまいもの歴史
原産地は南米のメキシコあたりで、コロンブスの大陸発見により世界に拡がったといわれています。日本には、中国から沖縄を通って鹿児島に上陸しました。1600年頃のことと云われています。当時の地名では唐から琉球を通って薩摩へということになります。そのようなわけで、カライモ(唐芋)と呼ばれたりサツマイモ(薩摩芋)と呼ばれたりするのです。
英語ではsweetpotato(スイートポテト)で、甘いイモを意味します。中国大陸では甘藷と呼ばれており、文字通り甘いのが特徴だったことが分かります。日本では、江戸時代に全国に拡がり、埼玉県川越あたりで広く栽培されたそうです。このころに焼き芋が大人気となり、「栗よりうまい十三里」ということばが生まれました。
川越が江戸から十三里の距離にあり、「栗(九里)+より(四里)=十三里」ということば遊びです。
〇甘いサツマイモを育てるには
サツマイモは収穫してすぐに食べてもおいしくありません。収穫後にしばらく保存して、でんぷんを糖に変化させて甘みを引き出す必要があります。
収穫した切り口からは白い汁がでてきますが、この汁や擦れて傷ついた表皮にかさぶたが付くように湿度を保った適温で保存します。キュアリングといって体をケアする工程です。
〇サツマイモの育て方
サツマイモは、茎から育てるのが一般的です。この茎を苗という言い方で呼んでいます。挿し木をして増やすということになります。
サツマイモの切り苗を土にさすと葉の付け根辺りから細い根が生えだします。この根に葉でつくられた養分を蓄えて根が太ってイモになります。塊根です。ジャガイモは塊茎でしたね。ジャガイモとはイモの作られる場所が異なりますが、意外と知られていません。ジャガイモは茎(くき)、サツマイモは根(根)としっかり認識しておきましょう。
ジャガイモは芽欠きをして茎の本数を絞りましたが、サツマイモは蔓がえしという作業です。拡がった葉から出てきた根を土から引きはがして、養分の分散を防ぎ塊茎にでんぷんを集中させるのです。
光合成を促進させるのには、水分が必要なのでイモが太りだしたころには水をたっぷり与えます。根をよく伸ばしていくために、畝は高くして水はけを良くしておきます。
〇植え付け準備
サツマイモはやせて水はけのよい土地が好みです。
肥料はほとんど入れません。特に窒素分が多いと葉ばかりが茂ってしまい、根が太りません。根を成長させるにはカリが有効ですので、草木灰くらいを仕込んでおけば良いでしょう。
栽培期間も4か月ほどかかり、地温も必要ですので、黒マルチを使って高畝にします。私たちは「かまぼこ」とか「たいこ」と呼んでいます。高さを30~40㎝くらいのこんもり丸い山を作ってマルチを張ります。
かまぼこマルチを張ったら、30㎝間隔でいぼ竹で穴をあけます。私の場合は斜め植えか垂直植えにすることが多いです。根つきを良くするためには、植え付け前に水を切って少ししならせてから植えることで、植付け後に自ら水分を探して根が発達するようです。このとき水分にありつけるように、植え付けたらたっぷり水をあげます。効果的に水をあげるためには、垂直植えにして穴をあけたところにたっぷり水をいれ、苗を挿し込むと失敗が少ないようです。
植え付けの深さは3~4節が土中に入るようにし、不定根が多く出るようにします。こうすることでイモがたくさん付くようになると思います。苗を挿し込んだら回りをトントンと押して土と圧着します。そして水をたっぷり与えておきましょう。マルチをしておけば雑草も生えませんし、蔓がのびるので通路の雑草もそれほど繁茂しません。時々様子をみながらつる返しをして、通路の除草をするくらいです。
増収と高品質を目指してプロの農家さんは工夫をしていますが、家庭菜園の延長で栽培をする程度でしたら、手間もかけずにつくれて失敗も少ないです。収穫も楽しいのでとても育てやすい野菜です。
近年焼き芋が人気でスーパー等で通年で売っているところも多く見かけます。品種は、鳴門金時、紅はるか、安納芋、パープルスイートなど様々あります。ねっとり、ホクホク、しっとりなど、それぞれ甘味や触感も異なります。いろいろと作ってみるのも楽しいでしょう。
美園ファーマーズ倶楽部でも毎年秋には芋掘り&焼き芋体験をやっていますので、一度体験すると、自分でも苗から育ててみたくなるかもしれません。
というわけで、今回はサツマイモの育て方についてのお話でした。
それではまた。