復職に向けて少しずつ体を整えていく静物

メンタル不調の復職で、なぜ体力が見落とされやすいのか

2026年4月28日(火)

メンタル不調の復職で、なぜ体力が見落とされやすいのか

RETURN-TO-WORK & STAMINA

気持ちが整っても、
体力が追いつかないことがあります。

メンタル不調からの復職では、心理的な回復に注目が集まりがちですが、休職中に静かに落ちている『体力』もまた、復職の安定にとても大きく関わります。前向きな気持ちと、それを支える身体の準備にズレがあると、復職後のちょっとした負荷でもいつもの何倍も消耗してしまうことがあります。

この記事では、なぜ復職準備で体力が見落とされやすいのか、復職に必要な体力とはどんなものか、そして無理なく整えていくための考え方を、美園ファーマーズ倶楽部(MFC)の視点から整理します。
復職に向けて少しずつ体を整えていく静物

メンタル不調と体力低下は切り離せない

メンタル不調からの回復というと、気分や思考パターンに焦点が当たりがちです。しかし実際には、心と体は同じ一人のなかで強く影響し合っています。気分が落ちれば動きが減り、動きが減れば体力が落ち、体力が落ちるとさらに気分が下がる——この循環を理解しておくことが、復職準備の第一歩になります。

休職中に活動量が落ちやすい理由

休職に入ると、当然のことながら通勤・会議・職場での移動・人と話す時間といった日常的な負荷が一気になくなります。これは回復のためにとても大事な変化ですが、同時に、それまで自然と保たれていた活動量が大きく減るタイミングでもあります。

特に休職初期は、心身がエネルギーを使い切っている状態に近く、横になる・ぼんやり過ごす時間が増えるのは自然な経過です。けれども回復が進んでも、「動かない生活」のリズム自体は残り続けやすいのが落とし穴です。

心理的な回復と身体的な回復に差が出ることがある

心と身体のバランスを見つめ直す静物

気分が安定してきた・人と話せるようになった・本を読めるようになった——心理的な回復のサインが出始めると、本人も周囲も「だいぶ戻ってきた」と感じます。けれども心理面の回復のスピードと、身体的な回復のスピードは、必ずしも一致しません

気持ちは前を向き始めているのに、長時間外出すると翌日ぐったりする・少し歩くと足が重い・夕方には集中力が切れる——こうした身体面のサインは、心理回復のかげで見過ごされがちです。

🌿 POINT

『気持ちは戻った』と『体力が戻った』は別物です。両方が揃って、はじめて働き続けられる状態に近づきます。

体力不足が復職後の負担を大きくする

復職直後は、仕事そのもののストレスに加えて、通勤・人間関係・環境変化への適応が同時に押し寄せます。これは健康なときでも消耗する条件ですが、体力が落ちている状態では、その負荷が何倍にも感じられます。

結果として「思っていたよりずっとしんどい」「気持ちは戻ったはずなのに身体が動かない」というギャップが生まれ、再休職リスクを高める要因のひとつになります。

復職で必要になる体力とは何か

通勤のための靴が並ぶ玄関

「体力」と聞くと運動部のような体力を思い浮かべがちですが、復職で必要になるのは、もう少し地味で、しかし大事な持久力です。激しい運動ができることではなく、平日5日のリズムを淡々と続けていける土台のようなものです。

通勤や移動に耐える力

毎日の通勤は、意外なほど体力を使う行為です。決まった時刻に身支度をし、満員の電車やバスに揺られ、駅から会社まで歩き、夕方にはもう一度同じ道を戻る。これだけで、休職中の数日分の活動量に相当することも珍しくありません。

通勤を再現する練習として、同じ時間帯・同じ距離・同じ程度の負荷を、徒歩や電車で繰り返してみることが助けになります。一度できた、ではなく、何日も連続でできるかが大事な視点です。

座る、立つ、動くを続ける持久力

デスクワーク中心の方でも、同じ姿勢を一定時間保つこと自体に体力を使います。座り続ける、立ち続ける、会議で集中して話を聞く、合間に席を立って移動する——これらを8時間繰り返す持久力は、自宅での読書や家事とは質が違います。

立ち仕事や移動の多い職場であればなおさら、『動きを続ける力』を意識して取り戻していく必要があります。

集中と休息を切り替えるためのエネルギー

仕事は、ずっと集中しているわけでも、ずっと休んでいるわけでもありません。集中→小休止→集中を一日のなかで何度も繰り返します。この切り替えにも、地味にエネルギーが要ります。

💭 やさしい注意

「30分は集中できる」だけでなく、「30分集中して、5分休んで、また30分集中する」というリズムを一日のなかで繰り返せるか——ここが復職準備のひとつの目安になります。

体力の低下が仕事に及ぼす影響

仕事机に現れる疲労と集中力低下

体力が十分に戻っていない状態で復職すると、仕事の中身そのものよりも先に、『身体がついていかないことによるしんどさ』が前面に出てきます。これは本人にとっても、周囲にとっても、わかりにくい消耗の形です。

疲れやすさと集中力低下

一日の前半は何とかこなせても、午後になると急に頭が回らなくなる・夕方には判断力が落ちる、というパターンは、体力低下のサインのひとつです。気合いや精神論ではどうにもならず、エネルギーの底が浅い状態と言えます。

「気合いが足りない」「気の持ちよう」と片付けられがちですが、身体の準備が追いついていないだけのことが多くあります。

肩こりや筋緊張など身体症状の悪化

休職中に活動量が落ちると、姿勢を支える筋肉が弱りやすく、復職後に長時間のデスクワークを再開した途端、肩こり・首こり・腰のだるさ・頭痛が一気に出てくることがあります。

こうした身体症状は、本人の集中力や気分にも影響します。「身体が痛い/重い」状態が続くと、メンタル面も自然と引きずられがちです。

小さな負荷でも消耗しやすくなる状態

以前であれば気にもならなかった小さな出来事——立って話す・少し早歩きする・短い会議が連続する——が、急に大きな負担に感じられるようになります。これは身体の余白がなくなっている状態で、ちょっとした負荷でもエネルギーをすぐに使い切ってしまいます。

体力低下のサインに気づくチェック

無理なく体力を戻すための考え方

「体力を戻す」というと、ジムやランニングを思い浮かべがちですが、復職準備の段階でいきなり強い運動を始めるのは逆効果になることが多いです。ここでは、無理なく持続できる戻し方の考え方を整理します。

いきなり運動量を増やさない

やる気が戻ったときほど、「これまでの遅れを取り戻したい」と強い負荷を一気にかけてしまいがちです。けれども急な負荷は、身体の痛みや疲労感だけでなく、メンタル面の落ち込みも引き起こしやすく、結果としてまた動けなくなる、というサイクルに陥ります。

💭 やさしい注意

『強くやって短く続かない』よりも、『弱くやって長く続く』のほうが、復職準備の段階では何倍も価値があります。

日常動作の質を上げることから始める

特別な運動を始めるよりも、すでに毎日やっている動作の質を少し上げるところから始めるのがおすすめです。

1

歩く

背筋を伸ばす・歩幅を少し大きく・腕を自然に振る。距離より歩き方の質。

2

座る・立つ

深く座る・足裏を床にしっかりつける・立ち上がりはゆっくり。負荷の少ない筋トレ。

3

呼吸する

浅い呼吸を意識して深く戻す。一日数回、深呼吸を入れるだけでも自律神経の助けに。

こうした日常動作の質の見直しは、運動の習慣のない方でも今日から始められ、関節や心臓に強い負荷もかけません。地味ですが、復職に必要な体力の土台として、もっとも実用的なアプローチのひとつです。

続けられる範囲で習慣化することが大切

もうひとつ大切なのは、『続けられる量』に設定することです。週に1回30分頑張るより、週5日で10分ずつのほうが、復職後の身体には合っています。

🌿 POINT

「これくらいなら無理なく毎日できる」という量を見つけ、まずはそれを2〜4週間続けてみる。続けられたという事実そのものが、自信と体力の両方を育てていきます。

心理面だけでなく身体面も見る支援の必要性

畑でやさしく野菜を手に取る手元

ここまで見てきたように、復職準備においては身体面のケアを心理面と同じ重さで扱うことが欠かせません。けれども実際の支援の場では、面談やカウンセリング中心で、身体面が後回しになりやすいのが現実です。

理学療法的な視点が役立つ理由

理学療法は、けがや病気のあとのリハビリテーションだけでなく、『動きやすい身体を取り戻す』ための科学的な視点を持っています。姿勢・歩き方・関節の動き・筋肉の使い方をていねいに見ていくため、本人が気づきにくい身体のクセや疲れやすさの原因が見えてきます。

メンタル不調からの復職準備でも、こうした身体側からのアプローチを取り入れることで、心理面のサポートだけでは届きにくかった部分が補えるようになります。

姿勢や動作の評価が復職準備につながる

立ち上がる・歩く・物を持つ・座り続ける——どれも仕事の中で何度も繰り返される動作です。これらが無理のないフォームでできているかを確認するだけでも、復職後の疲れにくさは大きく変わります。

姿勢が崩れていれば、同じ作業でも消費するエネルギーが多くなり、肩こり・腰痛も出やすくなります。動作の評価は、ご自身では気づきにくいエネルギーの『漏れ』を見つける作業でもあります。

ケアファームで行う身体面サポートの考え方

美園ファーマーズ倶楽部(MFC)のケアファームでは、畑作業という日常的な動きの中で、ゆるやかに身体を取り戻していくことを大事にしています。屋外で歩く・しゃがむ・運ぶ・道具を持つといった動作は、自然と全身を使う運動になり、ジムよりずっと負荷を細かく調整できます。

🌿 ケアファームで取り戻していけること

急に強い負荷をかけるのではなく、『今日もこのくらいできた』を積み重ねていくこと——その日々のなかで、復職に必要な体力と、それを支える身体感覚が、少しずつ戻っていきます。

※補足:ケアファームは、医療行為やリハビリテーションの代替ではありません。痛み・症状のある方や、運動の可否について不安のある方は、必ず主治医・産業医・専門家にご相談のうえで参加可否をご判断ください。本記事は一般的な考え方をお伝えするものであり、個別の状態については専門家へのご相談をおすすめします。

まとめ|気持ちと体力、両方を整えて復職へ

復職の準備というと、気持ちの整理や生活リズムに目が向きがちです。けれども気持ちが整っても、それを支える体力が落ちていれば、復職後のちょっとした負荷でいつもの何倍も消耗してしまうことがあります。

いきなり運動を始めるのではなく、日常動作の質を見直し、続けられる範囲で習慣化していくこと。そして必要に応じて、身体面の視点を持つ支援を取り入れること——その積み重ねが、復職後にしっかり立ち続けるための土台になります。

MFC CARE FARM

気持ちも、体力も。
畑のなかで少しずつ整えていく。

美園ファーマーズ倶楽部(MFC)のケアファームは、畑作業という日常的な動きを通じて、心理面と身体面の両方をやさしく整えていくための伴走の場です。復職に向けた体力づくりや生活リズムの再構築のご相談も承っています。

ケアファームの詳細を見る →

※ケアファームは医療行為やリハビリテーションの代替ではありません。


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