収穫したての枝豆のさや

知ってた!?枝豆のひみつ|大豆との違い・栄養・育て方まで農家が解説

2021年4月11日(日)

知ってた!?枝豆のひみつ|大豆との違い・栄養・育て方まで農家が解説

VEGETABLE TRIVIA|EDAMAME

冷たいビールのおともに枝豆をつまみながら、
ふと考えたことはありませんか?
「そもそも枝豆って、何の豆なんだろう?」

その答えは、思わず「へぇ!」と言いたくなる”野菜のひみつ”。実は私たちも畑で教わったとき、軽く衝撃を受けました。

この記事では、家庭菜園歴10年以上の美園ファーマーズ倶楽部(MFC)スタッフが、枝豆と大豆の意外な関係から、栄養・家庭菜園での育て方、そして畑を陰で支える「マルチシート」や「不耕起栽培」の秘密まで、まるごと解説します。読み終える頃には、誰かに話したくなっているはずです。
収穫したての枝豆のさや

枝豆と大豆は、実は「同じ植物」だった

野菜売り場では別々に並んでいる枝豆と大豆。ところがこの二つ、まったく同じ植物だということをご存じでしょうか。実はこれ、農業に長く関わる人でも意外と説明できない、身近な“野菜のひみつ”なのです。

未成熟で収穫すれば「枝豆」、完熟すれば「大豆」

答えはとてもシンプル。まだ青く未成熟なうちに収穫した大豆が「枝豆」で、そのまま畑に残してさやが茶色く枯れるまで完熟させ、乾燥させたものが「大豆」です。つまり、同じ一つのさやでも、収穫するタイミングが違うだけで名前も姿もガラリと変わります。枝豆のさやをそのまま採らずに置いておけば、やがて私たちがよく知る乾いた黄色い大豆になる、というわけです。

同じ植物の完熟(大豆・左)と未成熟(枝豆・右)

枝豆=大豆=納豆・味噌・醤油の原料

枝豆が大豆と同じということは——そう、あの納豆も、味噌も、醤油も、豆腐も、きな粉も、もとをたどれば全部この一粒。日本の食卓を支える発酵食品や加工品の多くが、枝豆と兄弟だったのです。「枝豆=大豆=納豆」と言われると、急に身近な豆がすごい存在に思えてきませんか。

STAGE 01
枝豆
未成熟・青い状態で収穫
STAGE 02
大豆
完熟・乾燥させて収穫
STAGE 03
加工品へ
納豆・味噌・醤油・豆腐・きな粉
POINT
「枝豆」という名前の由来
枝豆はもともと、枝ごと切り取って売られたり茹でられたりしていたことから「枝つき豆」=枝豆と呼ばれるようになったといわれています。植物学的には独立した野菜ではなく、あくまで大豆の一時期の姿。明日から使える、ちょっとした野菜雑学です。

枝豆の栄養パワー|「畑の肉」と「野菜」のいいとこ取り

枝豆がすごいのは、その正体だけではありません。大豆ゆずりの豊富なタンパク質に加え、未成熟な緑の状態ならではの栄養もあわせ持つ、まさに“いいとこ取り”の食材なのです。

枝豆(未成熟)と大豆(完熟)。同じ豆が持つ二つの姿

大豆ゆずりの「畑の肉」パワー

大豆が「畑の肉」と呼ばれるのは、肉に匹敵する良質な植物性タンパク質を含むから。枝豆にもそのパワーはしっかり受け継がれています。さらに、女性の健康を支えるとして知られる大豆イソフラボン、貧血対策の鉄分、むくみ対策のカリウム、おなかにうれしい食物繊維など、頼もしい栄養がぎゅっと詰まっています。

枝豆だけの「野菜」としての強み

一方で、乾燥した大豆にはほとんど含まれず、青い枝豆にだけ豊富な栄養もあります。その代表がビタミンCβ-カロテン。完熟・乾燥の過程で失われてしまうこれらを、枝豆は緑黄色野菜のようにしっかり届けてくれます。「豆」と「野菜」、両方の顔を持つのが枝豆の面白さです。

枝豆に含まれるおもな栄養素とはたらき
タンパク質筋肉や体をつくる材料。「畑の肉」の由来。
大豆イソフラボン女性ホルモンに似たはたらきで健康をサポート。
ビタミンC・β-カロテン乾燥大豆には少ない、青い枝豆ならではの栄養。
葉酸・鉄分血液づくりを助ける。特に葉酸が豊富。
カリウム・食物繊維余分な塩分の排出や、おなかの調子を整える。
POINT
「ビール×枝豆」が名コンビなワケ
枝豆に含まれるメチオニンというアミノ酸は、ビタミンB1・Cとともにアルコールの分解を助けるといわれています。さらに肝臓のはたらきをサポートするオルニチンも含むとされ、居酒屋の定番コンビには理にかなった一面があるのです。とはいえ飲みすぎにはご注意を。

家庭菜園で育てる枝豆|採れたての感動は格別

スーパーで買う枝豆もおいしいですが、畑で採れたてをすぐ茹でた枝豆の甘さは、一度味わうと忘れられません。枝豆は初心者でも育てやすく、家庭菜園の入門にもぴったり。基本の流れとコツを押さえておきましょう。

畑の畝で育つ枝豆(大豆)の株

種まきから収穫までの流れ

STEP 01
種まき
初夏の暖かい時期に。1か所2〜3粒
STEP 02
間引き
元気な株を残して1〜2本に
STEP 03
開花・水やり
花〜さやの時期は水を切らさない
STEP 04
収穫
さやがぷっくり膨らんだら一気に

種まきは気温が十分に上がる初夏が目安。枝豆は移植をあまり好まないため、畑やプランターに直接まくのが手軽です。花が咲いてさやがつき始めると水をたくさん必要とするので、この時期の水切れだけは避けましょう。開花からおよそ30〜40日、さやがぷっくり膨らめば収穫のサインです。

おいしい枝豆を育てる3つのコツ

CHECK LIST

枝豆づくり成功の3ポイント

枝豆(マメ科)は、根に共生する根粒菌が空気中の窒素を取り込んでくれるため、じつは肥料が少なめでも育つ省エネな野菜。チッ素肥料を与えすぎると「つるぼけ」といって葉ばかり茂り、肝心のさやがつきにくくなるので注意しましょう。

収穫した枝豆の枝を持つ手元

収穫は「鮮度が命」

枝豆のおいしさは、まさに時間との勝負。収穫した瞬間から甘みや風味のもとになる糖分が急速に減っていくため、農家の間では「湯を沸かしてから畑に採りに行け」と言われるほどです。家庭菜園なら、この鮮度の違いを最大限に楽しめるのが最大のぜいたく。採ったらできるだけ早く、さっと塩茹でしてほおばってみてください。

MISONO FARMERS CLUB

自分で育てた枝豆を、採れたてで味わってみませんか?

美園ファーマーズ倶楽部(MFC)では、ライフスタイルやご興味に合わせて選べる3つの農体験プランをご用意しています。

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畑を支える名脇役「マルチシート」の秘密

枝豆をはじめ、多くの野菜づくりの現場で活躍しているのが、畝を覆うマルチシート。「本当に必要なの?」と思われがちですが、これがなかなかの働き者。畑を長く続けると、その効果を実感する場面がたくさんあります。

黒い穴あきマルチに種をまくMFCの畑(黒マルチは雑草抑制と地温維持が主な役割)

マルチが果たす3つの役割

ROLE 1
地温を保つ
土の温度が安定し
発芽・生育が進む
ROLE 2
雑草を抑える
光をさえぎり雑草を防止
栄養が作物に行き届く
ROLE 3
泥はねを防ぐ
土の跳ね返りを抑え
病気の予防にもつながる

なかでも大きいのが地温の安定雑草対策。土の温度が保たれることで種が発芽しやすくなり、雑草が生えないぶん、土の栄養や水分が野菜にしっかり行き渡ります。夏の水やりの手間が減るのも、続ける人には地味にうれしいポイントです。

黒マルチと反射(シルバー)マルチの違い

マルチシートは色によって得意なことが違います。目的に合わせて選ぶのがコツです。

黒マルチ

雑草抑制◎ 地温アップ
  • 光をさえぎり雑草をしっかり抑える
  • 春先の地温を上げ生育を早める
  • もっとも一般的で扱いやすい

反射(シルバー)マルチ

害虫忌避 光反射
  • 光を反射してアブラムシなどの飛来を抑える
  • 株元まで光が回り生育を助ける
  • 真夏の地温の上がりすぎを抑える

「黒いビニールが光を反射して虫よけになる」と語られることもありますが、光の反射で害虫を遠ざけるはたらきが強いのは、正確には銀色の反射マルチ。黒マルチの主役は、あくまで雑草を抑え、地温を保つことです。目的に合わせて使い分けましょう。

便利さの裏にある、環境の課題

! マルチとプラごみ問題
多くのマルチシートはビニール(プラスチック)製で、使い終わると土には還らずプラごみになってしまいます。便利さと環境負荷は表裏一体。近年は使用後にそのまま土にすき込める生分解性(バイオ)マルチや、稲わら・落ち葉などの自然素材で畝を覆う昔ながらの方法も見直されています。エコやサステナブルの視点も持ちながら、上手に付き合っていきたいですね。

耕さない・持ち込まない「不耕起栽培」への挑戦

マルチのように「手を加える」栽培がある一方で、正反対の発想の農法もあります。それが、美園ファーマーズ倶楽部(MFC)でも実験的に取り組んでいる不耕起栽培(ふこうきさいばい)です。

不耕起栽培とは?

不耕起栽培とは、その名の通り畑を耕さない栽培方法のこと。MFCの区画では、そこにさらに「農薬も肥料も使わない」「栽培中の雑草取りもしない」を加えた、いわば究極のほったらかし農法にチャレンジしています。耕さないことで土の中の微生物や小さな生き物のすみかを壊さず、ふかふかの団粒構造と自然の生態系をそのまま活かそうという考え方です。

耕さずに落ち葉や草を活かす不耕起栽培の畝(MFCの畑)

メリットとデメリット

MERIT

うれしいところ

  • 耕す重労働がなく、体への負担が軽い
  • 土の中の微生物や生態系を守れる
  • 農薬・肥料代がかからず環境にやさしい
DEMERIT

難しいところ

  • 導入初期は雑草の管理に手こずりやすい
  • 土の状態によっては収穫が安定しにくい
  • 効果が出るまで年数がかかることも

美園ファーマーズ倶楽部(MFC)の実践

MFCでは以前、カブや大根などの根菜類でこの不耕起栽培を試したところ、驚くほどの発芽と収穫という大成功を経験しました。その手応えから、今度はバジルやロメインレタス、黄金カブといった葉物・軟弱野菜でも挑戦を続けています。うまくいくこともあれば、そうでないこともある——それでも試してみるのがMFCのスタイルです。

POINT
農業に、唯一の正解はない
マルチを張る栽培も、耕さない栽培も、それぞれに良さと難しさがあります。大切なのは「これが正解」と決めつけず、自分の畑と目的に合ったやり方を、試しながら見つけていくこと。美園ファーマーズ倶楽部(MFC)は「農業に正解はない」というスタンスで、これからもいろいろな栽培にチャレンジしていきます。

まとめ|身近な野菜にも、知れば楽しい「ひみつ」がある

枝豆と大豆が同じ植物だったこと、枝豆が「豆」と「野菜」の栄養をあわせ持つこと、そして畑を支えるマルチや不耕起栽培という工夫——。いつも何気なく食べている枝豆一つとっても、掘り下げてみると「へぇ!」がいっぱい詰まっています。

そして、こうした発見がいちばん実感できるのは、やっぱり自分の手で土に触れ、野菜を育ててみたとき。採れたての枝豆をほおばる瞬間の甘さは、きっと今日読んだ雑学を何倍にも楽しくしてくれるはずです。次の休日、あなたも小さな一歩を踏み出してみませんか?

MISONO FARMERS CLUB

土に触れる時間を、暮らしのなかに。

美園ファーマーズ倶楽部(MFC)では、ライフスタイルやご興味に合わせて選べる3つの農体験プランをご用意しています。種まきから収穫までを気軽に楽しめる体験や、じっくり学べる本格講習まで。自分の手で野菜を育てる小さな一歩を、私たちと一緒に踏み出してみませんか?

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