2021年4月18日(日)
種(タネ)を発芽させる条件は〇〇|温度・水・酸素の基本と種まきのコツ
種をまいたのに、なかなか芽が出ない——。
家庭菜園でいちばん多いつまずきが、実はこの「発芽」です。
でも、心配いりません。タネが目を覚ますために必要な条件は、たった3つ。そのしくみを知るだけで、発芽率はぐっと上がります。
種が発芽する3つの条件は「温度・水・酸素」
タイトルの〇〇の答えは、ずばり「温度・水・酸素」。この3つがそろって初めて、眠っていたタネは目を覚まします。意外に思われるかもしれませんが、発芽に太陽光は必須ではありません。まずは3つの条件を一つずつ見ていきましょう。
発芽適温が必要
休眠を解くスイッチ
呼吸している
① 水 ── 休眠を解く「スイッチ」
乾燥した状態のタネは、いわば休眠中。活動を止めてじっと出番を待っています。そこに適度な水分が加わると、タネは「季節が来た」と判断して活動を開始します。種まき後にいちばん気をつけたいのが、この水を切らさないこと。一度湿ったタネが途中で乾いてしまうと、発芽の途中で力尽きてしまうことがあります。
② 酸素 ── タネも「呼吸」している
タネは生き物ですから、発芽のときにはしっかり呼吸(酸素を必要と)しています。だからこそ、水のやりすぎで土がずっとびしょびしょだったり、深く植えすぎたりすると、酸素が足りずにタネが腐ってしまうことも。「水は大切、でも酸素も同じくらい大切」というバランス感覚がポイントです。
③ 温度 ── タネごとに「発芽適温」がある
タネにはそれぞれ、発芽に適した温度=発芽適温があります。自然界で春先に雑草が一斉に芽吹くのは、気温が上がって多くのタネの適温に達するから。裏を返せば、適温を外すと発芽しません。だからこそ、その野菜の適温に合わせて種まき時期を選ぶことが大切なのです。
発芽適温と、種まきの「時期」
3条件のなかでも、家庭菜園で最初につまずきやすいのが温度です。気温が低い冬場は多くのタネが発芽せず、苗づくりでは人工的に温床(保温した場所)を用意することもあります。まずは、代表的な野菜の発芽適温の目安を押さえておきましょう。
真冬のニンジン種まきでわかったこと
以前、あえて真冬にニンジンの種まきを試したことがあります。穴あきマルチに3粒ずつまき、その上に不織布をかけ、さらにビニールシートで覆って保温。タネ自身の生命力に期待したところ、発芽率はおよそ30%にとどまりました。ところが2週間おきに何度かまいてみると、3月に入ってからまいた分は明らかに発芽率が高い。やはり発芽適温に近づくほど、タネは元気に芽吹くのだと実感した実験でした。
セルトレイ(育苗トレー)
標準サイズは約28×54cm。1セルの容量は50穴で約82cc、72穴58cc、128穴24cc、200穴15ccと、穴数が多いほど土が少なく乾きやすくなります。水切れは発芽の失敗に直結するので、最初は72穴以上が扱いやすいです。トマトやキャベツなど鉢上げする苗は50〜72穴、ネギやレタスの小苗は128〜200穴が目安になります。
発芽しやすいタネ・しにくいタネ
同じように種まきをしても、タネの種類によって発芽のしやすさは大きく違います。その差を生むのは、タネの「皮の硬さ」や「光の好み」。あらかじめ知っておくと、うまくいかないときも原因を見極めやすくなります。
発芽しにくいタネ
- 種皮が硬く、水を通しにくい
- とくに水を多く必要とする
- 光を欲しがるタイプもある(好光性)
発芽しやすいタネ
- タネが丸っこく、水を吸いやすい
- 適期なら1週間ほどで発芽
- 初心者にもおすすめ
種をまく深さと「播種→圧着→潅水」の3ステップ
発芽の条件がそろっていても、まき方ひとつで結果は変わります。とくに大切なのがタネをまく深さ(覆土)と、種まきの基本手順です。
覆土は「タネの直径の3倍」が目安
タネの上にかける土を覆土(ふくど)といい、その厚さは一般にタネの直径の約3倍が目安とされます。深く植えすぎると酸素不足で発芽しないことがあるので注意。反対に、ニンジンやレタスのような好光性種子は光が届くよう、ほとんど覆土しません。豆類のように大きく水を含む種子は、深植えすると腐りやすいので浅めが安心です。タネをまいたら軽く圧着して土と密着させると、水分がタネに伝わりやすくなります。
種まき用の培養土
一般の培養土は粒が粗く元肥入りですが、種まき用は粒子が細かく、元肥なしか30〜40日で切れる控えめ設計です。細かいタネが土の隙間に落ち込まず、覆土をタネの直径の3倍で均一にかけられます。まずは2〜5Lの小袋から。128穴のセルトレイ1枚で約3L、72穴なら約4Lが使用量の目安です。
種まきの3ステップ
発芽までの管理チェック
- 1発芽まで土を乾かさない(とくに乾燥に注意)
- 2発芽適温をキープ(寒い時期は保温を)
- 3好光性/嫌光性で覆土の厚さを変える
- 4すぐ芽が出なくても焦らない(根が先、芽は後)
ポットで育てた苗を畑へ移すときは浅植えが基本です。根鉢を崩さない手順は苗の引っ越しに要注意に書いています。
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プランの詳細はこちら →種にも「寿命」がある|正しい保存のコツ
なかなか芽が出ない原因が、まき方でも温度でもなく、タネそのものの古さだった——ということも珍しくありません。タネは生き物。実は寿命があるのです。
新しいタネほど発芽率が高い
一般に、新しいタネほど発芽率は高くなります。たとえばネギやタマネギの寿命は1〜2年ほどと短く、古くなると発芽しにくくなります(3年前のパセリはまったく発芽しませんでした)。さらに、発芽したあとの生育の勢いも新旧で差が出ます。トマトなどは、新しいタネのほうが芽を出してからの茎の太さがはっきり違うほど。「発芽したのに育ちが弱い」ときは、タネの鮮度を疑ってみてください。
冷暗所・冷蔵庫で休眠をキープ
タネの寿命を延ばすコツは、乾燥・低温・暗所で休眠状態を保つこと。開封後のタネは、袋の口をしっかり閉じて密閉容器に入れ、冷蔵庫で保管するのがおすすめです。湿気と高温はタネの大敵。上手に保存すれば、来シーズンも元気に芽吹いてくれます。
保存用のシリカゲル乾燥剤
タネの寿命は乾燥と低温で伸びます。含水率が1%下がる、または温度が5〜6℃下がるごとに寿命がおよそ2倍になるという経験則があります。種袋10〜20袋なら300〜800mlの密閉容器にシリカゲル5gを5〜10個。色が変わったら交換の合図です。保管は冷蔵庫の野菜室(5〜10℃)で。生石灰タイプは水と反応して発熱するので、種の保存にはシリカゲルを選んでください。
※小さなお子さんの手の届かない場所で保管してください。
知ると面白い、タネの言い伝え「口に含んで植える」
最後に、ちょっと不思議な言い伝えを一つ。野菜のタネをいったん口に含んでから植える、という話を聞いたことはありませんか?口の中の常在菌をタネに移すことで、その人に合った作物ができる——そんな説があるのだそうです。
常在菌が関係するなら手のひらでも良さそうなものですが、一方で「苗を植えるときは根を素手で触らないように」と教わることもあり、真偽のほどは定かではありません。あくまで昔からの言い伝えとして、家庭菜園の遊び心で試してみるのも面白いかもしれません。ただし、薬剤でコーティングされたタネもあるため、口に含むのは十分注意したうえで、あくまで自己責任で。
まとめ|発芽のしくみを知れば、種まきはもっと楽しくなる
タネが芽吹くために必要なのは、温度・水・酸素の3条件。そこに、タネごとの発芽適温や光の好み、種皮の硬さ、そして寿命といった「個性」が重なって、発芽の成否が決まります。うまくいかないときも、この記事のポイントを一つずつ確認すれば、きっと原因が見えてくるはずです。
小さなタネが土を割って芽を出す瞬間は、何度見ても感動的なもの。次の種まきでは、ぜひタネの気持ちになって、3つの条件を整えてあげてください。あなたのまいた一粒が、元気に芽吹きますように。
土に触れる時間を、暮らしのなかに。
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